実りの秋

大学入試における英語科の民間テスト導入制度が先おくりになりました。

もうずいぶんと現場の先生、予備校の先生方からも「制度が不公平である」と指摘され続けていたので、土壇場での延期で学生さんたちは混乱して可哀そうでしたが、不公平なまま実施されるということがなくてよかったと思ってほっとしています。

 

とは言え、日本の学校教育の英語の中で圧倒的に足りていないのが、英語の4技能「読む」「聞く」「話す」「書く」のうちの「話す」「書く」のアウトプット系の2技能であることは間違いないので、大学入試に「話す」「書く」取り入れることで、中学・高校・予備校での「話す」「書く」分野に力を入れさせると狙いは正しいのだろうと思います。

ただ、大学入試への取り入れ方として、地方に住む学生に受験の機会がなかったり、1回2万円近くかかる民間試験を、何度も受けてベストなスコアを提出できる裕福な家庭のお子さんと、1度しか受けられない経済状況のお子さんとで不公平が生まれるのはよくない、ということで今回はとりあえず見送りになった、ということです。

民間試験の導入の仕方や制度について、多くの人が納得できる形で「話す」「書く」能力を図る試験が、大学入試にうまく取り入れられるといいなぁ、と思います。

 

ところで、

学校教育の現場の英語で足りていないのは「話す」と「書く」、のアウトプット2技能なわけですが、

これが「大人のやり直し英語」となると話はちょっと変わってきます。

大人になって英語をやり直したい、という方々に圧倒的に足りていないのは、実は「読む」「聞く」のインプットの方なのです。もっと言うと、「“読む”の方は学校でやったから何とかなるんだけど、、」とおっしゃる方の多くが、実際にはほとんど読めてはいなかったりします。「聞く」に至っては、ほぼまったく聞くことができません。

「英語を話せるようになりたい」と思った時に「話す」ということに力を注ぎたい気持ちはわかります。

 

しかし、当たり前ですが知らないことは話せない”

のです。

そして、英会話でよく使うフレーズだけ丸暗記したところで

“相手の言っていることが聞こえなければ、何を答えていいのかわからない”

のです。

 

まずは英語で相手の話していることを「聞いて理解する」ことが出来ないことには会話ができるようにはならないのです。

極論ですが、「聞いて理解する」ことだけできれば、こちらの言いたいことは、身振り手振りや単語の羅列でもなんとか通じるのです。

 

なので、大人のやり直し英語でまずやっていただきたいのは「聞く」ことです。

最初はCDを聞いても全く何も聞き取れないと思います。

そこで、そのCDのテキストを「読む」ことになります。「読む」と、「えーー、なに、この単語知らないわ」。。「あ、こっちも知らないわ」と単語力のなさが聞けない原因になったていることに気づきます。

そこで単語を調べます。そして時には、全部の単語を調べても、「この単語の羅列がなぜ日本語にするとこの意味になるのかわからない」という事態にぶち当たります。その疑問を解決するのが文法力です。

 

そこからが私たち講師の出番です。

効率よく単語を身につける方法やテキストをご紹介したり、文の成り立ちの説明をお伝えしたりすると「ほーー、なるほど」と納得していただけるのです。

せっかく教室に来ていただいているときには“アウトプット”の良いチャンスなので、たくさん英語で話していただきたいと思っています。英語を話してアウトプットしながら、文法を体と心で覚える、という授業をしています。アウトプット出来た言葉は聞こえるようにもなってきます。

でも、それだけだと耳の鍛え方が不十分なので、「話す練習をしているはずなのに、なかなか話せない」という事態に陥りがちです。

教室に来ている間はたくさん話していただきます。でもそれ以上に、教室に来ていない日に聞いたり、読んだりする時間をたくさんとっていただきたいと思っています。そうしてようやく教室でやった「話す」の練習が実を結んでくるのです。

家で「聞く」「読む」「聞く」「読む」を繰り返し、教室で「話す!話す!話す!」をして、もう一度家で「聞く」というサンドイッチ方式で、英語力は伸びていきます。

 

実りの秋です。

皆さんの努力が、たわわに実りますように★

 

posted by 英語担当講師 加純